私の中で最も再生回数が多いアルバムの一つである。
40年近く聞いている、まさに耳タコ的なアルバムである。
なぜそんなに聞いているのか?
先ず、とにかく音がいい。
PAエンジニアがオーディオ機器のサウンドチェックに使っているとかいないとかという噂はどうでもよく、とにかく聞いていて気持ちがいい。
私も、イヤホン・ヘッドフォンを買いに行くときチェック用に I.G.Yを使っている。
ちなみに他には、「Waltz For Debby」とグールドの「ゴルドベルク(81年版)を使っている。
演奏も当代一流のミュージシャンをこれでもかと集めて行われており、演奏面でもほぼ完ぺきと言える内容である。
また、このような面だけではなく楽曲も魅力的なものが多い。
コンセプトは50年代の情勢を基にしている。
冷戦が本格化し国際政治的には不安定な時期だった。
そうした情勢も歌詞に反映されている。
私のお気に入りは、1、4,6,7の3曲である。
1は国際地球観測年(International Geophysical Year)のことで、未来はなんと美しい世界になるだろうとフェイゲンお得意のアイロニーに満ちた歌詞が効いている。
4はピアノのイントロから始まるジャジーなバラードでフェイゲンはコーラスもすべて自分で入れているという。
確かに一体感があり非常に美しく仕上がっている。
6はタイトルチューンでまさに夜と酒が似合う曲。
Jazzとおしゃべり、大人の曲である。
7は最もお気に入りの曲で、歌詞とメロディーのハマり具合、2回目の繰り返しで歌の代わりにギターがメロディーを奏でることで不在を表すなど、隅々まで作りこまれている。
キューバ革命を思わせる歌詞とカリブ風のメロディーがトロピカルな雰囲気をまとわせる。
メル・トーメを始めとしたジャズミュージシャンにカバーされる隠れが名曲と言える。
とにかく、音作り、曲、歌詞、演奏、コンセプトまでスキのないアルバムであり、これからも私の愛聴盤であり続けるだろう。
1 I.G.Y
2 Green Flower Street
3 Ruby Baby
4 Maxine
5 New Frontier
6 The Nightfly
7 The Goodbye Look
8 Walk Between Raindrops
コメント