まんがに関する記事

あずまきよひこ『よつばと!』:子供時代をもう一度体験できる大人のため童話
大人が子供時代を懐かしむための童話
管理人のエビスは現在、ほとんどのマンガは紙媒体から電子書籍に切り換えた。
しかし、『よつばと!』は紙媒体で読みたい作品である。
度々、作者であるあずまきよひこの長期休載が話題に...

志村志保子『女の子の食卓』甘くて苦い食べ物にまつわる物語
食べ物にまつわる物語がオムニバス形式で綴られる。一話完結で、一部を除いて登場人物は毎回異なっている。
出てくる食べ物は決して高級なものではなく、ごくありふれたものが多いのは、その食べ物を食べた経験のある読者にその時の記憶を喚起させよ...

岡崎京子『Pink』:ワニと男とドトールを均等に愛するホテトル嬢の物語
消費し続けるあまりに80年代的な主人公
OLのユミはワニの餌代を稼ぐためにホテトル嬢をしている。ユミには、折り合いの悪い継母いるが、その娘である異母妹ケイコとは仲がいい。
ユミはけして利口ではないが、お馬鹿なわけではない。ブラ...

川原泉『美貌の果実』ベタな設定を陳腐に見せない独特のずらし方
川原泉は男でもさほど違和感なく読める少女漫画家だ。ヒロインの目に冬の夜空のごとく星が瞬いていることもない。お嬢様や会社社長など社会的な地位が高い人と庶民との恋愛という、設定自体はある意味ベタだが、ストーリの方は少女漫画の王道をある意味外し...

わたせせいぞう『ハートカクテル』:まるでイラスト集を見ているような美麗なグラフィック
オールカラーの美しい1枚絵のイラストを見ているような
わたせせいぞうの絵を、誰でも一度くらいは目にしたことがあるのではないだろうか?
とにかく、美麗な絵で、特に色彩の素晴らしさには目を見張る。カラーインクを使っているらしいのだ...

高野文子『るきさん』:バブル期にすでに現代の生き方を実践していた⁉
「るきさん」については以前別のブログに書いたことがある。「るきさん」は雑誌「Hanako」に88~92年まで連載されたマンガだ。バブルとともにやってきてバブル崩壊とともに去っていった。
登場人物は、るきさんとその友人のえっちゃんのほ...

五十嵐大介『魔女2』:汲めども尽きぬイマジネーションの洪水
前回の続き前回⇒五十嵐大介『魔女1』:作者の表現力に圧倒される
2巻には、北欧の大いなる魔女と生命を変容させる石を廻る物語「PETRA GENITALIX」、からっぽな少女が、からっぽな日常を抜け出そうとして乗った船で千足(ちたる)...

五十嵐大介『魔女1』:作者の表現力に圧倒される
続きはこちら⇒五十嵐大介『魔女2』:汲めども尽きぬイマジネーションの洪水
五十嵐大介のオムニバス短編である。
五十嵐大介は本当に絵が巧い。マンガ的表現としても勿論だが、よく言われるように絵画的表現としても凄いと思う。幻想的で圧...

岩明均『寄生獣』その2:分裂した自己とアイデンティティの回復
逆説的な問いかけにより獲得した批評性
※以下ネタバレあり
寄生獣が陳腐な環境論や人間性悪説に陥らなかった要因の一つは、前回でも言及した本来人間が語るべきことをパラサイトに語らせていることにあると思う。パラサイト側からの逆説的な...

岩明均『寄生獣』その1:感情のないパラサイトに倫理を語らせることで予想以上の批評性を獲得
ある日、上空から降りてきた物体から這い出た謎の生物により人間は頭部を乗っ取られてしまう。泉進一もこの生物に頭部を乗っ取られそうになる。かろうじて食い止めるも右手を乗っ取られてしまう。そうして寄生生物ミギーと進一の奇妙な共生生活が始...