岩明均『寄生獣』その1:感情のないパラサイトに倫理を語らせることで予想以上の批評性を獲得

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ある日、上空から降りてきた物体から這い出た謎の生物により人間は頭部を乗っ取られてしまう。
泉進一もこの生物に頭部を乗っ取られそうになる。
かろうじて食い止めるも右手を乗っ取られてしまう。
そうして寄生生物ミギーと進一の奇妙な共生生活が始まった。

90年代の代表的なマンガともいえる『寄生獣』であるが、今読んでも十分に面白い。
この漫画の面白さは、寄生生物(以下パラサイト)たちの戦闘シーンもさることながら、人間という存在に関する哲学的な問いが、パラサイトから発せられる点にある。
ミギー、田村玲子、後藤それぞれにより「寄生生物の存在意義は」と問いかけられる。
例えば、脅しをかけられた進一の「悪魔」というつぶやきにミギーは

「シンイチ・・・『悪魔』というのを本で調べたが・・・一番それに近い生物は、やはり人間だと思うぞ
「人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているがわたしの『仲間』たちが食うのは ほんの1~2種類だ。質素なものさ。

寄生獣1巻より引用

と返す。


パラサイトは、伸縮自在かつ鉄のように硬度を上げることもできる体を持ち、ライオンも一撃で葬る攻撃力を誇る。また、知能も高く旺盛な知識欲と学習能力を備える。
しかし、パラサイトは頭部以外は普通の人間の体であり、寄生している肉体が死亡すれば他の肉体に乗り移らないかぎり死んでしまう。
しかも生殖能力がなく(パラサイトに寄生された状態で生殖行為を行っても生まれてくる子は普通の人間である)、非常に強靭ではあるが『ひ弱』な存在でもある。

見どころの一つであるパラサイト同士の戦いは今までどの漫画でも見たことはなく、ミギーや田村玲子などは非常に緻密な論理のうえで戦いを組み立ていく。
手足や首が飛びまくるなど現在ではモザイクがかかりそうなグロ描写も多い。
しかし先にかいたように、この戦闘がメインテーマではなく、作品の中心はパラサイトと人間の存在という壮大な哲学的テーマが主題となっている。
シンイチが、「パラサイトを倒そう」とミギーに持ちかける場面で、
ミギーは

「シンイチ、わたしたちには人間的な感傷がない。だから『仲間』を殺す時も気分的にどうということはない。だがわたしとシンイチの立場が逆だったらどうする?」

寄生獣1巻より引用

と問い返す。
「パラサイトは人間に害をなすから悪だ」というのは人間の論理であることに思い当たり、
悩み始める。
面白いのは、本来はシンイチの成長を導く親や教師などから問いかけられるべき問いが、
人間的な論理を持たないパラサイトのミギーから問いかけられることである。
この逆説は、物語の各所に挿入される。

その2へつづく

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