今や世界で最も重要なバンドとなった感のある彼らだが、その音楽にポピュラリティーがあるとは到底思えない。
曲調は陰鬱なものが多く、歌詞も比喩を多用し難解である。
しかし、アルバムを出すたびに世界的なベストセラーに。
彼らの音楽は、『Kid A』を分岐点に変わったというのは大方の意見の一致するところだろう。
私も最初に聞いたとき、1ヵ月ほど封印したことを覚えている。
それまでギターを中心としたオルタナ系バンドが、ブライアン・イーノばりのエレクトロニカをやっているのだから、そりゃ驚くだろう。
先日書いた、キング・クリムゾンのヘッズ化はリアルタイムではなかったので、「あー、全然違うね」程度だったが、これはリアルタイムだったのでその衝撃は計り知れない。
後々、『Kid A』も愛聴盤の仲間入りをするのだが、その時はショックが大きすぎたのだ。
私のおすすめは1、2,5,7,9,10。
1はパーカッションで始まるクリムゾンを思わせる5拍子の曲で、ロックなのにノれない(´;ω;`)
2はギターのリフがカッコいい『Kid A』以前に戻ったような曲、昔からのファンはこのような曲を求めていると思うのだがどうだろう?
5は、どんよりとしたバラードだが歌詞が陰鬱、どことなくストーカーのにおいがするのは気のせいだろうか?
7は、今作中最も気に入っている曲。生々しいシンバルの音で始まるトムのファルセットが美しい曲だ。歌詞も、『ファウスト』からインスピレーションを受けたという。ということは「Reckoner(清算人)」は「永遠に女性的なるもの」ということなのだろうか?
また歌詞に「In raibows」と出てくることから、アルバムの中でも重要な曲であるようだ。
後半はストリングスも入り静謐だが荘厳な感じに仕上がっている。
9は優秀なギタリストを3人も抱える彼らの特性を最大限に生かした曲で、歌詞も皮肉が効いていておもしろい。
また、芸人カメラを使ったPVも秀逸。
10は宗教感たっぷりの曲で、歌詞にメフィストフェレスが出てくることから7と同様『ファウスト』からのインスピレーションがあったと思われる。
なんだかそのまま息絶えてしまいそうな曲調でこのアルバムを締めくくる。
文中何度か出てきた『ファウスト』は戯曲のためなれないと読みにくいが、面白い。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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