あらすじ
巻き毛に夏でも黒のタートルネックスタイルを崩さない「不可能」専門の探偵・御殿場倒理、眼鏡にスーツ姿がクールな「不可解」専門の探偵・方無氷雨。
「不可能」専門とはトリックなど「How」に関する推理を得意とし、「不可解」専門とは奇妙な動機など「Why」に関する推理を得意としている。
二人は、探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」を共同経営している。
お世辞にも流行っているとは言えない事務所だが、そこには通常の探偵事務所では扱うことのできない珍妙な依頼が舞い込む。
感想
設定やキャラクター名を見ると西尾維新のようなラノベ的なものを想像するが、半分アタリといったところである。
作者の作品はもともとラノベ的でありキャラクターを中心に話が回っているところがあり、今回もそれを踏襲しているためサクサクと読むことが出来る。
私は読むのが遅い方だがそれでも1.5時間ほどで読み終わってしまった。
40ページほどの短編が7編収録されていて、タイトルはパロディになっている。
ページ数の都合もありちょっと推理の根拠が弱かったり、論理的な帰結ではなかったりすることもあるのだが、どちらかと言えばシリアスではなくエンタメ系の作品なのでその辺は目をつぶることとしよう。
むしろ不満は、「不可能」と「不可解」と事件によって2人の分業になるのかと思いきや、いつも2人で行動し合議により事件は解決される。
そもそも、トリックは動機と密接に結びついていることが多く、2つを分けるのが難しいことも多い。
この辺はもっと徹底的に分業制にしたほうがキャラが立って面白かったかもしれない。
もう一つ残念なのは、セリフから倒理と氷雨のどちらがしゃべっているのか理解しづらいこと。
セリフが続いていると分からなくなることもしばしば。
この辺はもう少し丁寧に書き分けてほしかった。
この他も、傲岸不遜な駄菓子好きエリート警察官、穿地決と犯罪コンサルタントの糸切美影と濃いキャラ、特に美影がどう絡んでくるのか楽しみだ。
今作読了の時点では、氷雨は倒理の首の傷に何らかの負い目を持っていることがうかがえる。
また、決と美影を含む4人の因縁が語られるとき、このことも明らかにされるのだろう。
※筆者はすでに続編も読んでいますが、1までしか読んでいない体で書いています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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