川原泉は男でもさほど違和感なく読める少女漫画家だ。
ヒロインの目に冬の夜空のごとく星が瞬いていることもない。
お嬢様や会社社長など社会的な地位が高い人と庶民との恋愛という、設定自体はある意味ベタだが、ストーリの方は少女漫画の王道をある意味外しまくっている。
恋愛ものもキャラクターがどこかずれている人たちなので、
やはり一筋縄ではいかない。
川原泉の世界では、いつも時間がゆったり流れている。
おそらく作者の体内時間が通常の人より3倍くらいゆっくり流れているに違いない。
この”農業三部作”では、特に時間はゆったりまったりと流れている。
ボーっとした人物が時折放つ哲学的な香がするセリフ、
そこかしこに撒き散らされる薀蓄、そして”もぎゅもぎゅ”。
まさに川原ワールド全開だ。
農業三部作
九州に引越した主人公がひょんなことから農業人としての誇りに目覚める
「愚者の楽園-8月はとぼけてる」
訳ありの牧場主と別荘に避暑に来ているお嬢様とのふれあいを描く
「大地の貴族-9月はなごんでる」
小さなワイナリーを経営する母子とそこにビジネスにやってきた父と小さな娘、
そして寿命がつきかけている葡萄の精がおりなす人間模様
「美貌の果実-10月は歪んでる」
以上が“農業三部作”だ。
その他の収録作品
文庫版では、上の他にも
チャンバラ好きの剣道場の孫娘とその相手を務める少年のお家騒動
「架空の森」
「心にワダカマリが無い」ゆえに森の主である白いカメを見ることが出来る女子高生が、うっかり主につまづきカメになってしまう。
「森には真理が落ちている」
ボーっとした女子高生はある夜、キャリアウーマンの姉が近所の屋敷でパセリ泥棒をしているところを目撃する。
しかし、その現場を屋敷の主である兄弟に見つかってしまい…。
「パセリを摘みに」
どの話も40ページほどの、短編だが内容が濃い。
登場人物もよくしゃべるし、無口な設定の人物もモノローグでよくしゃべる。
これに作者の解説が加わるのだ。
この字の多さも川原作品の特徴だろう。
また、キャラクターもボーっとしているものが多いが、
モノローグでは結構毒舌だったり、意外と面倒くさい性格をしている。
「美貌の果実」は泣ける話だが、川原泉は意図的に読者を泣かせるようなことはしない。
作者の照れなのか、そのような過剰な演出はない。
そこが、川原泉が男性読者にも受け入れられる要因の一つだろう。
川原泉のエッセンスが濃縮されている一冊。
以前他のブログに書いたものに加筆修正したものだが、
Kindleで入手し再読したのでそのうち加筆予定。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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ここ数年、紙の書籍を買うことが少なくなった。
ビジネス書などは裁断し自炊していしまうので、本棚も1つ処分した。
PDF化した書籍はクラウドに入れておけば、出先でもスマホやタブレットで読めて大変便利である。
たしかにマンガなどはいまだに紙のほうが読みやすいと思うが、利便性が優ってしまっている状態だ。
そこで、いくつか電子書籍サイトをおススメしておく。
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