シカゴの軌跡
シカゴは、1967年に名前の通りイリノイ州シカゴで結成されたロックバンド。
通常のロックバンドにブラスセクションを取り入れた珍しいスタイルで、ブラスロックと呼ばれた。
ブラスロックには他に、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズがいる。
デビューアルバムからヒットを飛ばし続け、初期のヒットに「長い夜」「サタデー・イン・ザ・パーク」などがある。両曲は今でもたまに日本のテレビ番組で流れることがある。
76年にはラブバラードの「愛ある別れ」が全米№1に輝き、バンドも順風満帆かと思われた。
もともと政治や社会風刺を歌詞に盛り込んだ硬派なグループであったため、このヒットがきっかけとなりバンドは方向性を見失ってしまう。
さらに悪いことに、1978年にギターのテリー・キャスが銃の暴発事故で亡くなり、この後長い低迷期に入る。
そして復活へ
80年代に入り、ビル・チャンプリン(vo,k)の加入とプロデューサーにデビット・フォスターを迎えて制作された本作は、従来の力強いブラスロックとメッセージ性の高い歌詞は影を潜めた。
サウンド面ではピーター・セテラとフォスターの主導により、AORとバラード路線、歌詞は恋愛に関するものに変わっていた。
Totoのメンバーは演奏だけではなく曲作りにも参加し、出来上がったサウンドはかつての彼らのサウンドとはかけ離れたまさに当時流行ったTotoっぽい音であった。
他のメンバー(特にブラスセクション)は納得していなかったが、アルバムそしてシングル「素直になれなくて」が大ヒットした。
特に「素直になれなくて」は「愛ある別れ」以来の全米№1ヒットとなり、ここで今後のシカゴのイメージは決定した。
この後、17,18,19とやはりAORバラード路線は続いていく。
本作の目玉はやはり「素直になれなくて」であることは疑いようもない。
「100万ドルの声」と言われたセテラのハイトーンボイスを存分に生かした美しいバラードは、現在でも名バラードとしてテレビやラジオでも聞くことが出来る。
2は、Totoのメンバーとフォスターとの共作でまさにそれっぽい音になっている。
ポイントでブラスが使われているところにかすかにブラスロックの名残を見ることもできる。
6はボビー・コールドウェルのアルバムに入っていても違和感を感じない完全なAORに仕上がっている。
10は5と双璧をなすバラードでチャンプリンとセテラが二人でボーカルを務める。
改めて聞いてみると、5,10以外の曲にはそれなりにブラスセクションが使われていることがわかった。
「素直になれなくて」のシングルやPVで「Get Away」の部分が削られていることから、ブラスセクションがハブられたような印象を持ってしまったのだろうか。
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