『エスケイプ』『フロンティアーズ』とヒットを飛ばし、アメリカを代表するスタジアムバンドとなったジャーニーだが、内部はなかなかに荒れていたようだ。
結果、ベースのロス・ヴァロリーとドラムのスティーブ・スミスは今作を限りに脱退する。
これまでの作品のようなハードロック色は薄れ、聞きやすいポップな作品に仕上がっている。
実はこれがジャーニーの分岐点になったのではないかという気がする。
実は、私のジャーニー初体験はこのアルバムで、最高傑作と言われる『エスケイプ』よりも圧倒的にこちら聞くことが多い。
上にも書いたが適度にポップで聴きやすいため疲れている時などに流すことが多い。
スティーブ・ペリーの少しはスキーで爽やかなボーカルは疲れた体にすっと入ってくる気がする。
このアルバムからも多くのシングルヒットが生まれた。
1はコーラス特にラストのスティーブ・ペリーのハイトーンヴォイスはまるで宇宙に吸い寄せられていくようだ。ちょっとBostonみたいなところも感じる佳曲である。
3、4は姉妹局の様で縦ノリの爽快なアメリカンロックに仕上がっている。
8はスローなパワーバラードで少し泥臭さも感じられるがホッとする1曲。
以上がヒットシングルとなるが、私のお気に入りは6と10の2曲で、地味ながら美しい曲だと思う。
この後、ジャーニーは10年ほど沈黙に入り、10年ぶりのアルバム『トライアル・バイ・ファイアー』を最後に黄金期のバンドの顔であったスティーブ・ペリーが脱退する。
私の場合、このアルバムから遡っていったタイプで実はこれ以降新しいジャーニーは聞いていないしおそらく今後聞くこともないだろう。
確かに彼らの音楽は売れ線を狙ったところもあっただろう。
しかし、それでもスティーブ・ペリーの唯一無二のボーカルを生かした美しい曲の数々は、聞いた人の心に何らかの足跡を残しているはずである。
【Track listing】
- Girl Can’t Help It
- Positive Touch
- Suzanne
- Be Good to Yourself
- Once You Love Somebody
- Happy to Give
- Raised on Radio
- I’ll Be Alright Without You
- It Could Have Been You
- The Eyes of a Woman
- Why Can’t This Night Go on Forever
最後までお読みいただきありがとうございます。
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