少し古くなってしまったが映画『トップガン マーヴェリック』が大ヒットしたようだ。
見に行くことはないだろうが、前作の公開時、思春期真っただ中だった私も、HDの中にあるサントラを聞いて当時を懐かしんでいる。
ただ、昔を美化するわけではないが、前作の時の方がずっと盛り上がっていたような気がする。
バブルの渦中だったが、まだアメリカに対するあこがれが残っていた時代だったし、なんというか世の中の熱気が違う気がするのだ。
まあ、世の中が熱病にうなされていたような時代だから、それこそ白昼夢のように消えてしまった若なのだが…。
実に80年代的なアルバム
なんというか、音が思いっきり80’sしている。
キーボードの音とか、スネアドラムの音とか、やたら音圧が高いとか、サビがやたらとメロディック&ドラマティックなところとか、全体的に大袈裟というか張りぼて感たっぷりなところとかetc.etc.…
サウンドはこのように80年代の王道を地で行くものだが、リアルタイムで経験した者にとってそれは、
毒々しく健康に悪いと分かっていても貪らずにはいられない駄菓子などと同様に、大袈裟に言えば自分の一部と化してしまったものなのである。
映画とともにアルバムも大ヒットした。
しかし、当時のスーパースターというほどではない中堅どころやチャートに曲が出始めたアーティストを多く使っているという印象だ。
ケニー・ロギンスは本作と、『フットルース』のおかげで、すっかりサントラアーティストになってしまった(少なくとも日本では)。
このように世界的に大ヒットした本アルバムであるが、その人選には紆余曲折があったようである。
まず、1はTotoがやるはずだったのだが、プロデューサーとTotoの弁護士で揉めてとん挫した。
平和主義者のブライアン・アダムスは、映画が戦争賛美だとオファーを断っただけでなく、劇中の自曲の使用も認めなかった。
また、REOスピードワゴンやコリー・ハートにも断られたようだ。
これらのアーティストが参加していれば、格段に豪華になっていただろうが、果たしてヒットしたか否かは誰にもわからない。
ロギンス、ベルリン以外にも聞きどころが
とにかく、ケニー・ロギンス「デンジャー・ゾーン」のとベルリンの「愛は吐息の中に(恥ずかしい…)」だけではなく、他にもいくつかの聞きどころがある。
まず、2はちょっと低迷している頃のチープトリックで、ロビン・ザンダーの伸びのある声がいい感じのナンバー。チープトリックはこの後、「The Flame」で劇的な復活を遂げる。
6は、このころチャートを賑わせていたマイアミ・サウンド・マシーンで、彼ららしい熱いラテン調ではないものの、グロリア・エステファンのボーカルはやはり80年代を彷彿とさせる。
私の押しは、カナダのバンド、ラヴァ―ボーイの7。
正統派の80’sパワーバラードで、聞けばあの頃の喧騒が蘇るようなそうでないような。
さて、一体文中に何回80と書いたのだろうか?
まあ、そういう1枚なのだ。
【Track listing】
- Danger Zone Kenny Loggins
- Mighty Wings Cheap Trick
- Playing with the Boys Kenny Loggins
- Lead Me On Teena Marie
- Take My Breath Away Berlin
- Hot Summer Nights Miami Sound Machine
- Heaven in Your Eyes Loverboy
- Through the Fire Larry Greene
- Destination Unknown Marietta
- Top Gun Anthem Faltermeyer Harold Faltermeyer/Steve Stevens
最後までお読みいただきありがとうございます。
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