オールカラーの美しい1枚絵のイラストを見ているような
わたせせいぞうの絵を、誰でも一度くらいは
目にしたことがあるのではないだろうか?
とにかく、美麗な絵で、特に色彩の素晴らしさには目を見張る。
カラーインクを使っているらしいのだが、
印刷するときの色番を指定したとかしないとか。
とにかく、色彩には並々ならぬこだわりがあるようだ。
わたせせいぞうの絵は、鈴木英人や永井博の影響が濃いように思う。
特に初期の作品はもろにぱ○りじゃんとか思っていた(すいません)。
鈴木英人は『FMステーション』という、ラジオ情報誌の表紙を描いていた人。
アメリカ西海岸風のポップで、ポップな色彩が特徴的だった。
ビビットな原色遣いで紙ふぶきやリボンが無意味に飛び交っていて、
今思うと、ザ・80年代って感じである。
当時は、エアチェックというのがあったのだが、今の人には理解しづらいかも知れない。
エアチェックには、ラジオ情報誌がマストアイテムであった。
村上春樹との近似性
わたせせいぞうの特徴は美麗な色彩だけではなく、
その抽象的な都市空間の表現、ちょっとクサい位にウィットにとんだ会話などが上げらる。
この辺は、よく村上春樹と比較されているところでもある。
わたせせいぞうと村上春樹は同年代で早稲田大学卒業と経歴も似通っている(村上は文学部でわたせは法学部)。
しかし、いろいろ比べてみると村上春樹の方がセリフが軽やかで深い。
村上作品に出てくる登場人物のこだわりが、わたせ作品ではすこし上っ面というか、
いかにもこだわっていますという力みみたいなものを感じてしまう。
また、村上の主人公がの悩みが自分が自分であることの苛立ちであるのに対し、
わたせの主人公はほぼ女の子とうまくいくかどうかに終始している。
また、男性視点が多く、出てくる男は皆優しいフェミニストなのは、ちょっと格好つけすぎじゃないかと思う。
ただ、絶えず出てくる「気分がいいというフリ」は、両者に共通しているところだろう。
両作品を読んでいると熱々のフライドポテトを頬張りながら、
冷たいバドやクアーズを飲みたくなってしまう。
先に、抽象的な都市空間と言ったが、わたせ作品の舞台は基本的に日本なのだが、
どこも日本には見えない。
というより、「こんなところハワイやロスにもないだろう!」と突っ込みたくなってしまう。
しかし、そのある種のどこにもない場所という匿名性が、この物語には必要なのかもしれない。
だからこそ、あの歯の浮くようなセリフも物語の中では違和感がないし、
逆に普通のセリフだったら野暮ったくなってしまうだろう。
おしゃれな舞台にはそれにあったおしゃれなセリフがあるのだ。
私が作品中最も気に入っているのは、Y市(おそらく柳川市)の情景で、
日本古来の景観とわたせせいぞうの絵が実に巧く噛合った見事な表現だと思う。
掘割と呼ばれる水路と城下町の面影を残す白壁がわたせの手によると、
こんな風になるのかと驚嘆した。
わたせせいぞうは、20代の頃ははちょっと気恥ずかしくて読めなかった。
だが、年を重ねて読んでみるとノスタルジーを感じるとともにどことなくホッとしている自分に気づいた。
枯れてくると、ギラギラした恋愛ものよりも、ほっこりしたものを読みたくなる。
焼肉やステーキよりも刺身や蕎麦を求めるように。
超美麗な絵はそのままイラストとしても通用するくらいだし、
そんな美麗なイラストでマンガが出来ていると思うと、一作で二度美味しいかもしれない。
この作品はぜひワイド版で読んでほしい。
(以前他のブログに書いた記事を加筆修正したものです)
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ここ数年、紙の書籍を買うことが少なくなった。
ビジネス書などは裁断し自炊していしまうので、本棚も1つ処分した。
PDF化した書籍はクラウドに入れておけば、出先でもスマホやタブレットで読めて大変便利である。
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