R.E.M.『Murmur』懐古的な音が逆に新しかった

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音楽
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懐かしいのに新しいR.E.M.の魅力

R.E.M.は、1980年にジョージア州で結成された。


結成時のメンバーは、マイケル・スタイプ(vo)、ピーター・バック(g)、マイク・ミルズ(b,v0)、ビル・ベリー(ds)の4人で、97年にビル・ベリーが脱退したが、解散する2011年まで同じメンバーで活動をした。

日本で売り出しのキャッチフレーズだったのか「カレッジチャートの雄」という言葉を、FM雑誌などでもよく目にした。


私がロックを聴き始めたのがちょうど『ドキュメント』が発売されて、「The One I Love」がヒットチャートをにぎわせた頃だった。


80年代アメリカでは、学生が運営する「カレッジ・ラジオ」「カレッジ・メディア・ジャーナル」が人気を博していた。


「カレッジ・ラジオ」では、メジャー・マイナーにかかわらず自分たちの聞きたい音楽を流していた。


メジャーなメディアではまだ取り上げられていないインディーズ・アーティストたちが聞けるとあって、新しい音楽を求める若い学生たちの間ではかなりの影響力を持っていたらしい。


そんな中、R.E.M.はカレッジチャートで絶大な人気を誇り、インディーズレーベルからの発売だったにもかかわらず、『Murmur』から『ドキュメント』までいずれも、ビルボードのアルバムチャートのトップ40入りをしている。

彼らの音楽の特徴を一言でいうと、「懐かしいのに古くない」ということだ。


ザ・バーズ、ニール・ヤング、パティ・スミス、ヴェルヴェット・アンダーグランドなどの影響を色濃く感じるが、彼らのフィルターを通すうちに他の誰でもないR.E.M.の音となっているのだ。

一聴しただけで分かるマイケルのボーカルは、このバンドを最も特徴づけているものだろう。


自ら「電話帳を読み上げるだけで人を感動させることができる」と豪語するほどの、特徴のある声はライブでもパフォーマンスとも相まってカリスマ性を帯びていた。

ピーターのギターはこの時代のギタリストにしては珍しくテクニックを前面に押し出すことはなく、アルペジオやカッティング主体の音は楽曲に独特の叙情性を与えている。


タイプとしてはザ・スミスのジョニーマーやU2のジ・エッジと同タイプと言える。

マイクは実はこのバンドの要なのではないかと密かに思っている。


派手さはないが実にメロディアスなベースラインはシンプルな楽曲が多い彼らの楽曲に花を添えている。


また、ハイトーンの美しいバッキングボーカルは、マイケルの少しドスの効いた中音域のボーカルとの相性も抜群で、これも彼らのバンドの一つの特徴である。

ビルのドラミングは、装飾が少ないシンプルで無駄のないものである。


おそらく楽曲を活かそうと試行錯誤の末にたどり着いたものだろう。


そのタイトなドラミングは、楽曲を引き締める役割を担っているように思う。

マイケル以外は、個別に聞くと特に突出した個性の持ち主ではないが、4人がそろって音をだすと、唯一無二のR.E.M.の音となる。

R.E.M.は、オルタナティブバンドの先駆けと言われ、その音楽的影響力は多大なものがある。


カート・コバーン、トム・ヨーク、クリス・マーティン、デーモン・アルバーンなど、彼らをリスペクトするアーティストは枚挙にいとまがない。

R.E.M.は最初からR.E.M.以外ではありえなかった

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本アルバムは、ローリングストーン誌で、マイケル・ジャクソンの『スリラー』やポリスの『シンクロニシティ』等のモンスター級のアルバムを抑えて、1983年度のベストアルバムに選ばれた。


このような華々しい評価を受ける本作だが、聞いてみると内容はえらく地味である。


各曲のクオリティーは高いが、本当に地味。


それは磨き抜かれた珠というよりは、長年使いこまれた根付のようないわば「なれ」のようないぶし銀の良さなのである。


80年代の音楽でよくある、大袈裟でドラマティックな展開などみじんもなく、淡々とアルバムは進んでいく。


事実、彼らはシングルチャートにおいて数曲のトップ10ヒットはあるが、いわゆるアルバムアーティストであった。


私のお薦めは、1,3,4。もちろんアルバムを通して聴いてほしい。

まずは、1の「Radio Free Europe」を聞いてみよう。

マイケルに髪があるとか、ビジュアル的な驚きもあるが、その音楽は最後のアルバム『コラプス・イントゥ・ナウ』に入っていてもさして違和感を感じないように思える。


それでは、彼らの音楽は30年間全く進歩しなかったのかというとそれは違う。


彼らは彼らとして自分たちの音楽を、日々磨き上げていったのだと思う。


つまり、R.E.M.として、常にバージョンアップを遂げていったのだ。


彼らは最初からある意味完成されていたのだと言えるのではないか?

3は、シンプルなドラムとメロディアスなラインを奏でるベースのイントロで始まり、やがてボーカルとアコースティックギターのアルペジオが加わる。


この曲、まるでレディオヘッドの「イン・レインボウズ」あたりに入っていてもおかしくないような曲である。


サビは、いかにもR.E.M.っぽい、といっても何がR.E.M.っぽいのか私には言語化できないのだが。

4一見単純なようでよくわからない歌詞を持った曲。


 宗教家に信心を問うているのか政治家に心情を問うているのか。
 
6は、マイク・ミルズのホンキートンクピアノで始まる美しいバラードで、後の「フォール・オン・ミー」や「マン・オン・ザ・ムーン」「ナイトスイミング」への萌芽を感じる。

このアルバムを久しぶりに腰を据えて聞いてみたのだが、逆にこのアルバムを通して後塵のオルタナティブバンドの姿を薄っすらと見ることが出来たような気がした。

【Track listing】

  1. Radio Free Europe
  2. Pilgrimage
  3. Laughing
  4. Talk About the Passion
  5. Moral Kiosk
  6. Perfect Circle
  7. Catapult
  8. Sitting Still
  9. 9–9
  10. Shaking Through
  11. We Walk
  12. West of the Fields

最後までお読みいただきありがとうございます。

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