ジョー・ヘンダーソン『Page One 』:デビュー作にしてこの完成度!グルグルテナーはここから始まる

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音楽
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ジョーヘンこと、フガフガ系テナーサックス奏者ジョー・ヘンダーソンの初リーダーアルバムである。

ジョーヘンは、1937年6月30日にアメリカのオハイオ州で生まれた。


小さい頃はドラムやピアノに興味を持っていたらしいが、やがてサックスと巡り合う。


知人のすすめで、レスター・ヤングやスタン・ゲッツを聞くようになったようだが、最も影響を受けたのは当時のサックス小僧のご多分に漏れずチャーリー・パーカーだったそうだ。


しかし、ジョーヘンのプレイはパーカーどころかヤングやゲッツとは似ても似つかないと思う。


三者ともとめどなく美しいフレーズがあふれ出す流麗なプレイが持ち味だが、ジョーヘンのプレイはなんかグルグル、クネクネしている。


とぐろを巻くようなという表現をする人もいるくらい独特のフレーズを吹いている。


だが、そこがジョーヘンの持ち味であり、彼を一戦で活躍せしめた要因だと思う。


アートの分野で最も大切なものは何をおいてもその人しか持ちえないオンリーワンの個性だと思う。


確かに、ジョーヘンより上手いプレイヤーはそれこそ、アマチュアを含めて多数いることだろう。


しかし、ジョーヘンの個性はたとえパーカーだろうと真似のできないものなのだ。

さて本作、パーソネルを見てみると、ベテランのケニー・ドーハム、コルトレーンカルテットのマッコイ・タイナー、早熟の天才ベーシスト・ブッチ・ウォーレン、ラテン得意のピート・ラロカとなかなか豪華なメンバーだ。


アルフレッド・ライオンも力を入れていたのだろう。


ジョーヘンのウネウネした特異なプレイに対してドーハムは昔ながらのと言うと聞こえはいいがやや古臭いスタイル。


だが、これが曲に安定感を与えているのかもしれない。


ウォーレンのベースは歌うようにメロディアスであり、ラロカもバスラのように煽るのではなく要所を締める的確なプレイ。


ただ、マッコイのプレイはコルトレーンカルテットの時のような、重厚感はなく(あえてそうしているのだろうが)少し物足りなさを感じた。

また、ジョーヘンは作曲の才にも恵まれており、本作でもデビュー作ながらケニー・ドーハム作の1,2以外は彼のオリジナルでしめられている。


1.がなんといっても有名で多くのミュージシャンにカバーされている。


みんな大好きマイナーラテン調で本作を代表するナンバーと言え、もはや現代ではスタンダード化したといっても言い感がある。


しかし、私の押しは1の返歌ともいえるジョーヘンオリジナルの4となぜか日本語の5である。


4は1と同様のマイナーラテン調の曲で1とは対をなしているようで、哀愁を帯びたテーマが美しい。

都会の夕暮れを思い起こさせるような雰囲気で1よりもヘビロテしている。


5もマイナー調のクネクネしたメロディーで(とにかくジョーヘンといえばクネクネという形容しか浮かばない語彙貧弱な筆者である)、ジョーヘンのソロがとぐろを巻きまくっている。ラロカもなかなか熱く煽っている。変な曲だが癖になる。

ジョーヘンはサイドマンとしても多くの名演を残している。

有名所だと「Song for My Father/Horace Silver」「The Sidewinder/Lee Morgan」あたりだろう。


とくに、前者のどこかやり投げなサックスソロは文句なしにカッコいい。

あのソロなくしてこの曲が今ほどの名声を勝ち得たのかというと言い過ぎだろうか?

【Track listing】
1.Blue Bossa (Kenny Dorham)
2.La Mesha (Kenny Dorham)
3.Homestretch
4.Recorda Me
5.Jinrikisha
6.Out of the Night

【Personnel】
Joe Henderson (ts)
Kenny Dorham (tp)
McCoy Tyner (p)
Butch Warren (b)
Pete La Roca (ds)

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