Blog
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マンガ
わたせせいぞう『ハートカクテル』:まるでイラスト集を見ているような美麗なグラフィック
【オールカラーの美しい1枚絵のイラストを見ているような】 わたせせいぞうの絵を、誰でも一度くらいは目にしたことがあるのではないだろうか? とにかく、美麗な絵で、特に色彩の素晴らしさには目を見張る。カラーインクを使っているらしいのだが、印刷... -
マンガ
高野文子『るきさん』:バブル期にすでに現代の生き方を実践していた⁉
「るきさん」については以前別のブログに書いたことがある。「るきさん」は雑誌「Hanako」に88~92年まで連載されたマンガだ。バブルとともにやってきてバブル崩壊とともに去っていった。 登場人物は、るきさんとその友人のえっちゃんのほぼ2人。えっちゃ... -
本
近藤史恵『ヴァンショーをあなたに』:若き日の三舟の活躍がみられるシリーズ第2作
ビストロ・パ・マルシリーズ第2作。私は先に『マカロンはマカロン』を読んでしまったが、特に支障はなかった。最もほとんど内容を覚えていないのだから、関係ないのだ。この異様に忘れっぽいという特性のおかげでミステリーでさえ何度でも楽しめる。ただ一... -
マンガ
五十嵐大介『魔女2』:汲めども尽きぬイマジネーションの洪水
前回の続き前回⇒五十嵐大介『魔女1』:作者の表現力に圧倒される 2巻には、北欧の大いなる魔女と生命を変容させる石を廻る物語「PETRA GENITALIX」、からっぽな少女が、からっぽな日常を抜け出そうとして乗った船で千足(ちたる)という不思議な瞳を持... -
マンガ
五十嵐大介『魔女1』:作者の表現力に圧倒される
続きはこちら⇒五十嵐大介『魔女2』:汲めども尽きぬイマジネーションの洪水 五十嵐大介のオムニバス短編である。 五十嵐大介は本当に絵が巧い。マンガ的表現としても勿論だが、よく言われるように絵画的表現としても凄いと思う。幻想的で圧倒的なイメージ... -
本
大崎梢『晩夏に捧ぐ』
【あらすじ】 駅ビルの中にある成風堂書店で働く杏子のもとに、元同僚の美保からメールが届いた。今は長野にある老舗書店に努めている彼女によると店に幽霊が出て閉店の危機だという。杏子と多絵は夏休みの旅行もかねて、長野まで赴くことにした。 駅に到... -
マンガ
岩明均『寄生獣』その2:分裂した自己とアイデンティティの回復
【逆説的な問いかけにより獲得した批評性】 ※以下ネタバレあり 寄生獣が陳腐な環境論や人間性悪説に陥らなかった要因の一つは、前回でも言及した本来人間が語るべきことをパラサイトに語らせていることにあると思う。パラサイト側からの逆説的な問いかけに... -
マンガ
岩明均『寄生獣』その1:感情のないパラサイトに倫理を語らせることで予想以上の批評性を獲得
ある日、上空から降りてきた物体から這い出た謎の生物により人間は頭部を乗っ取られてしまう。泉進一もこの生物に頭部を乗っ取られそうになる。かろうじて食い止めるも右手を乗っ取られてしまう。そうして寄生生物ミギーと進一の奇妙な共生生活が始まった... -
本
10月に読んだ本の紹介と感想
【吉永南央『紅雲町 珈琲屋こよみ その日まで』】 あらすじと感想 群馬県にある紅雲町で古民家風のコーヒー豆と和食器を扱う店・小蔵屋を切り盛りする杉浦草。今回は、入浴ストライキをしている少年とライカのカメラを売る男の話(如月の人形)、近くに... -
音楽
R.E.M.『Murmur』懐古的な音が逆に新しかった
【懐かしいのに新しいR.E.M.の魅力】 R.E.M.は、1980年にジョージア州で結成された。 結成時のメンバーは、マイケル・スタイプ(vo)、ピーター・バック(g)、マイク・ミルズ(b,v0)、ビル・ベリー(ds)の4人で、97年にビル・ベリーが脱退したが、解散する2...