Go Back To 1985 :思い出の曲たち⑩シンプル・マインズ「ドント・ユー(Don’t You (Forget About Me))」

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Don't You (Forget About Me)
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1985年頃の私は、どういうわけか「汚いもの」を受け付けなくなった。

音楽では、ボブ・ディランのような濁声が聞けなくなり、シカゴやエアサプライなどのいわゆる澄んだハイトーンボイスばかりを好んで聴いていた。

漫画では絵柄の汚い少年・青年漫画を読まずに、少女漫画ばかり読んでいた。

これらの症状はすぐに改善されたのだが、そのきっかけの一つが「ドント・ユー」であった。

この曲のジム・カーは、低音〜中音域で歌っており、当時の私の好みからはかなり外れていたのだが、ラジオで聴いたかベストヒットUSAで見たのかは忘れたがえらく気に入ってしまった。

かくして私の症状は回復していき、今ではむしろ個性的な声のアーティストばかり聴いている。

このシリーズのラインナップは以下のとおり。

パートタイム・ラヴァ―/スティーヴィー・ワンダー
  Part-Time Lover/Stevie Wonder
ホイットニー・ヒューストン「すべてをあなたに」
 Saving All My Love for You/Whitney Houston
ティアーズ・フォー・フィアーズ「シャウト」
 Shout/Tears for Fears
ダイア―・ストレイツ「マネー・フォー・ナッシング」
 Money for Nothing /Dire Straits
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース「パワー・オブ・ラヴ」
 The Power of Love/Huey Lewis and the News
フォリナー「アイ・ウォナ・ノウ」
 I Want to Know What Love Is/Foreigner
REOスピードワゴン「涙のフィーリング」
 Can’t Fight This Feeling/REO Speedwagon

ワム!「ケアレス・ウィスパー」
 Careless Whisper/Wham!
USAフォー・アフリカ「ウィ・アー・ザ・ワールド」

 We Are the World/USA for Africa
⑩シンプル・マインズ「ドント・ユー」
 Don’t You (Forget About Me)/Simple Minds

目次

スコットランド出身のニューウェーヴバンド

シンプル・マインズは、1979年にデビューしたスコットランド出身のバンドである。

当初はニューウェーヴっぽい音だったようだが、私が聴いていた80年代半ばはごく普通のロックバンドといった感じだった。

音はどことなくU2に似ている感じがする。

ジム・カーのボーカルがボノのそれに似ているというのもあるのだろうが、プロデューサーのスティーヴ・リリー・ホワイトの影響が大きいように思う。

ジム・カーもボノと同様にある種のカリスマ性があり、それがバンドの売りとなっていた。

これはバンドにとって、強力な長所であるとともに、大きな弱点でもある。

なぜなら、カリスマ性のある個人にバンドの命運が握られてしまうからだ。

バンドがうまくいっている時はいいのだが、歯車が狂い始めると止まらなくなってしまう。

シンプル・マインズも理由はどうあれメンバーチェンジを繰り返し、現在残っているオリジナルメンバーはジム・カーとギターのチャーリー・バーチルの2人のみである。

しかし、40年以上もバンドを続けること自体凄いことなのだ。

現在のジム・カーは、かつてのカリスマ性はなくどことなく人のいいおじさんになってしまったが、80年代に活躍したアーティストの多くが引退したり亡くなっているので、末長く頑張って欲しいものである。

ブライアン・フェリーが歌うはずだったが、結果オーライ⁈

「ドント・ユー」は映画『ブレックファスト・クラブ』のサントラ用に書かれたものであり、当初はブラアン・フェリーに歌ってもらおうとしたが断られたようだ。

確かに、このミドルテンポのパワフルな曲はブライアン・フェリーの艶めかしくちょっとアンニュイなボーカルとは合わないかもしれない。

ジム・カーもオリジナル曲をプレイするバンドだったこともあり、最初は断ったそうだが、結局引き受けることになった。

結果、この曲は唯一の全米ナンバーワンヒットとなった。

ジム・カーも高音域より豊かな中音域を主体とするボーカルスタイルであるが、この曲はそれでも通常のシンプル・マインズの曲に比べて幾分低い音域な気がする。

特に、サビの最後の「Rain keeps fallin’~」のあたりは中々、色気もある。

これが、ブライアン・フェリーだとちょっと色気が出すぎたかもしれない。

バンドはこの後、「アライヴ・アンド・キッキング」という、もう一つのトップ 3入りするヒットを飛ばすのだが、ジム・カーとチャーリー・バーチル以外のメンバーは脱退してしまう。

90年代に入るとグランジの台頭により、80年代に興隆を極めたゴージャスな音作りは廃れていき、ローファイのざらついたサウンドが蔓延していく。

ある意味ロックは、ここで再び原点に帰ったと言えるのかも知れない。

以降、ロックはあらゆる他ジャンルの音楽を吸収し肥大化していく。

ロックが生まれてからもすぐ70年になる。

これからもロックが廃れることはないだろう。

しかし、クラシックやジャズのように後世まで残る曲がどれだけあるのだろうか?

むしろその巨大さゆえに、産業としてのロックは残っても、個々の曲は忘れ去られていくのかもしれない。

私がその行く末を見届ける事はできないが、ロックという素晴らしい文化が続くことを願っている。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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