突然だが、私はゲンの悪い人間である。
例えば、通い始めた店がすぐにつぶれるとか、趣味の同好会が自分が入ったとたん活動縮小⇒解散など、1度や2度のことではない。
そういう巡り会わせなのだろうか?
実は、このシリーズで取り上げているアーティストの中にも、自分が聞き始めた途端にチャートイン出来なくなった人たちがいる。
実は、この回紹介するフォリナーもそのうちの一組に当たるのかもしれない。
「アイ・ウォナ・ノウ」を含むアルバム『プロヴォカトゥール』は、イギリスで1位、アメリカのビルボードチャートで4位とヒットした。
しかし、次作の『インサイド・インフォメーション』から、シングル「セイ・ユー・ウィル」が6位、「ウィズアウト・ユー」が5位とヒットしたものの、アルバム自体は、イギリスチャートで64位、アメリカのビルボードチャートで15位とそれまでの彼らにしては物足りない成績だった。
それよりも、このアルバムを最後に、フォリナーの顔であったヴォーカルのルー・グラムが脱退してしまった。
これを機に、バンドが再びチャートを賑わせることはなかった。
このシリーズのラインナップは以下のとおり。
①パートタイム・ラヴァ―/スティーヴィー・ワンダー
Part-Time Lover/Stevie Wonder
②ホイットニー・ヒューストン「すべてをあなたに」
Saving All My Love for You/Whitney Houston
③ティアーズ・フォー・フィアーズ「シャウト」
Shout/Tears for Fears
④ダイア―・ストレイツ「マネー・フォー・ナッシング」
Money for Nothing /Dire Straits
⑤ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース「パワー・オブ・ラヴ」
The Power of Love/Huey Lewis and the News
⑥フォリナー「アイ・ウォナ・ノウ」
I Want to Know What Love Is/Foreigner
⑦REOスピードワゴン「涙のフィーリング」
Can’t Fight This Feeling/REO Speedwagon
⑧ワム!「ケアレス・ウィスパー」
Careless Whisper/Wham!
⑨ USAフォー・アフリカ「ウィ・アー・ザ・ワールド」
We Are the World/USA for Africa
⑩シンプル・マインズ「ドント・ユー」
Don’t You (Forget About Me)/Simple Minds
英米混合バンド=よそ者(フォリナー)
フォリナーという単語は、「外国人」という他に、言外に「よそ者」というニュアンスを含んでいる。
日本人が「外人」という場合のニュアンスに近いとあるネイティブは言っていた。
うっかり彼の地で使わない方がいいだろう。
フォリナーは、イギリス人とアメリカ人が在籍するバンドで、このことが名前の由来になっている。
そのメロディアスな曲調から売れ線狙いといわれ、Boston、Toto、スティクス、ジャーニーらとともに産業ロックの代表のように言われることも多かった。
後々のミック・ジョーンズのバラード路線への固執を見るとそういえなくもないが、他のメンバーはあくまでもハードロック路線を志向していた。
フォリナーの最高傑作は4枚目のアルバム『4』であると、ほとんどの人が考えるだろう。
このアルバムは、バンドのハードな面とソフトな面がバランスよく配置されており、ビルボードチャートで10週連続1位となった。
このアルバムからの大ヒットシングル「ガール・ライク・ユー」は、ビルボードチャートで10週連続2位という珍記録を持っている。
ミック・ジョーンズはこのバラードの成功に気をよくしたのか、次作で書き上げたのが「アイ・ウォナ・ノウ」である。
ハードロックを志向するヴォーカリストのルーと、バラード路線を志向するギタリストのミック。
この方向性の違いが、ルーの脱退へと繋がっていく。
しかし普通は、ギタリストがハード路線を志向するものであるが、ミックはあくまでもセールスを意識していたという。
そういえば、フォリナーの曲では、派手なギターソロはほとんど聞くことができない。
ロックバンドでソロを弾かないギタリストってあまりいないんじゃないかな?
他では、Mr.ミスターのスティーヴ・ファリスとか、ザ・スミスのジョニー・マーとかU2のエッジあたりかな。
ミックは、ギタリストとしてよりも、作曲やバンドの運営により興味があったのかもしれない。
豪華ゲストによるアンセム・バラード
「アイ・ウォナ・ノウ」は、前述の通り『プロヴォカトゥール』に収録されているパワーバラードである。
キーボードのイントロとともに、曲は静かに始まりやがてゴスペル調の大コーラスに発展していく。
ミック以外のメンバーは、この美しくメロウなバラードのシングル化に反対していたようだが、結果はバンド唯一のナンバーワンヒットとなった。
ルーのヴォーカルは実にパワフルでソウルフル。
体から絞り出すような声は、心にしみる。
やはりこのバンドの顔はルーなのだと再認識できる。
トンプソン・ツインズのトム・ベイリーがシンセサイザーで参加したり、ドリームガールズのジェニファー・ホリディがバッキングで参加したりと何かと話題もあった。
最後のコーラス部分はやや大げさだと思いつつもやはり感動的である。
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